ルンヒャンはしたたかなひとである。
彼女の端正な歌声は、時としてdeepなブルーズのフレーズを奏で、聴く僕らの耳を翻弄する。
ほど良く抑制されたトラックとメロディーに耳を傾ける。不意に、刃が心に刺さる。
紡ぎ出された6つの歌の物語。それぞれの物語の行方に一喜一憂しているうちに、僕らは、実はそれが自分の物語である、と言うことに気づくのだ。
そしてまんまと歌の策略にはまってしまったら、もうその物語から離れることはできない。
いつも屈託のない笑顔の彼女は、実はそこまで考えているのだ。
きっとそうに違いないのだ。
シンガーソウルライター。
看板に偽りなし。